木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「カメムシからうまれた思いやりの心」幼児編

2021.09.30

暑さが一段落し、過ごしやすい気温になってきました。園庭では運動会の練習に励む子、大型遊具を楽しむ子、虫探しをする子など色んな姿が見られます。その中でも根強い人気を誇っているのが「虫探し」です。園庭には四季折々の様々な虫がやってきます。そんな虫たちを不思議そうに時に興奮気味に捕まえる子どもたち。夏はなんといってもセミ採集ですが、今の季節秋になるとよく現れるのがカメムシ。私たち大人はカメムシというとくさいイメージが強いのではないでしょうか。しかし子どもたちはカメムシを見つけると「かっこいいー」「強そう」と嬉しそうに捕まえています。ある日うさぎ組(3歳児)のTくんとKくんがカメムシ探しをしていました。その日はなかなかカメムシが見つからず「いないね」「寝てるのかな」と話す2人。数十分後やっと葉っぱの裏に1匹のカメムシを見つけ大喜びでカップに入れて観察したり持ち運んだりしていました。

 

 

 

 

その時少し離れたところで一生懸命何かをを探すりす組(2歳児)のHくんがいました。私が「なに探してるのー?」と尋ねると「カメムシ」と答えました。その日はなかなかカメムシが見つからない様子を先程まで見ていたため「あそこにいるお兄さんたちがさっきカメムシ捕まえてたから見せてもらっておいで」と話すと「うん!」と嬉しそうに走っていくHくん。後から少し離れたところで様子を見てみると2人のお兄さんの前でモジモジしているHくんの姿が。「Hくん何か見せてほしいものがあるんだよねー」と少しお手伝いをすると「カメムシ…」と小さい声掛けやで伝えることができました。その声を聞きとったKくんとTくんは「これだよー」と嬉しそうに見せてくれました。そこから3人は特に会話をすることなくカメムシを嬉しそうに見続けていましたが、突然Kくんが「これあげる」とカメムシの入ったカップごとHくんに渡したのです。Hくんは喜んで受け取り自慢げに担任のもとへ見せに走って行きました。その様子を見ていた私は「Kくん、あんなに大事にしてたカメムシあげて大丈夫なの?」と尋ねると「うん、欲しそうにしてたから」と答えそれに被せるようにTくんも「欲しそうだったよねー」と言い「もう1匹探そう!」と虫網と虫かごを持ち走っていくとそこに合流するHくん。その後は3人で虫探しを始めたのでした。今回は虫探しをするKくんとTくんが虫を介して相手の思っていることを考え「思いやり」という形で表現する姿を見せてくれました。私が見る限り欲しいという発言や行動はなく、3人の間には沈黙が流れていたのですが、そこには3人にしかわからない言葉ではない表現ややりとりがあったのだと思います。普段は相手の表情を見て考えてやりとりをすることはまだ難しいのですが、好きなものを一緒に楽しむ時そこに言葉はなくても楽しさや気持ちを共有できるのは大人だけでなく2歳や3歳といった頃からもあることなのだと今回改めて感じることができました。虫探しに限らず、物や遊びを介して普段一緒にいない子と楽しむ姿はよく見られます。そういった場で見られる子どもたちの「これいいよね」という姿をこれからも見つけていきたいと思います。幼児 佐々木舞

 

 

 

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