運動会に向けて順番に競技の練習をしたあとのおはなしです。全員が一通り競技を終え、鉄棒や巧技台、ボールで自由に遊んでいるとこんな声が聞こえてきました。Aちゃん『〇〇ちゃーん』Bちゃん「はーい」Aちゃん『(ごにょごにょ)ついてー、ぉーいどぉん!』返事はしたものの、戸惑っているBちゃん対して『はぁい!すすんでー!だぁいじょぉぶぅ!』『ここ、ここ、なぁいない』『すごぉぉい!』と近くにつきっきりで競技の誘導をはじめていました。何だか見たことのある光景に記憶を呼び戻すと、つい先程までの私の姿だっ!と、ハッとしました。
声をかけているAちゃんはとっても真剣な表情でしたが、お友達が自分の声掛けに応じて競技を進めていくと、拍手したり嬉しそうな表情で最後まで保育士になりきっていました。(この後、相手役のBちゃんも「〇ちゃーん」とAちゃんのまねっこをしていました。)言葉の発達がめざましいこの時期、そんな言葉どこで覚えたの?と思う瞬間も多いのではないでしょうか。大人にとっては何気ない一言だったり、聞き流してしまうようなテレビの言葉を子どもたちのいい耳はしっかりと聴いているのですね。
『聞く』…音や声が耳に入る『聴く』…理解しようとすすんで耳を傾ける。漢字によってこのような意味の違いがあるそうです。子どもたちが聴き、自分の思いを伝えるための大切な言葉になっていくような、優しい口調や相手を思いやる言葉遣いをしていきたいと気づかせてもらえた場面でした。あひる組 小林身佳子