木月保育園では毎年新旧する前にひとつ上のクラスのお部屋で生活を始めています。これを「移行」と呼んでいます。
つい先日、1歳児も全員の移行が完了し2歳児の部屋での生活がスタートしました。1歳児室にはなかったパズルや粘土に興味深々で大人そっちのけで夢中になっています。
今では楽しく遊んでいる子ども達ですが、初日の朝はというと…。登園してくる子ども達を部屋で待っているとドアの外から泣き声が聞こえてきたのです。
ドアをあけてみると「違う~!!!」と泣きながらお父さんを振り切り、これまでの1歳児クラスに行こうとするAちゃんがいました。
私…「Aちゃんおはよう!」
Aちゃん…「う~(涙)ちがうの~」
私…「あひる組さんがいいの??」
Aちゃん…「うん~あっち~」
私…「そっか~!そっか~!」
こんなやり取りをして、Aちゃんの気持ちを汲み取り、一緒に1歳児のお仕度コーナーに向かうことにしました。今まではクラスカラーの黄緑色の画用紙に自分たちの顔写真がついていたロッカーでしたが、すでにそこには一つ下のお友達の紫色のカードがついていてどうしても自分の顔写真を見つけることができません。
どこを探しても自分の写真がないのを見て驚いた様子のAちゃん。
いつのまにか大泣きが静まっていったのです。
そんなAちゃんを見て私が「ちっちゃい子の写真になっちゃったね~Aちゃんの写真どこにいったのかね~」と声をかけながら少し落ち着いたAちゃんを2歳児の部屋に連れて行きました。
2歳児の部屋にあるロッカーにAちゃんの顔を見つけ「Aちゃん!ここにAちゃんの写真あったよ!!」と知らせたところ、不思議そうに自分の写真と新しいカゴをみつめ、そのあとは何事もなかったようにおもちゃを出したのです。
次の日Aちゃんは泣きませんでした。待っていた担任もみんな一安心。そんなAちゃんの姿を嬉しく思いながら受け入れをしました。子どもたちのなかには、環境が変わることへの不安を表す子もいます。
いままでのお部屋で気に入っていたおもちゃでのいつもの遊びが出来ないことへのいらだちや、何があるのか、何をするのかわからないことへの怖さ。私達が想像しきれないような気持ちの葛藤をひとりひとりが小さな心で感じているのだと思います。
子ども達の気持ちって大人が思っているより複雑なのかもしれません。
今どんな気持ちなのか汲み取り、その子どもが自然に受け入れられるまで一緒にまったり、思っていることを一緒に悩んだり。
そんなことを繰り返しながら子ども達が安心して楽しく生活できるように関わっていきたいと思います。あひる組 小林