ある日、園庭の隅で年中児のAさんが一生懸命に手を伸ばしている姿がありました。よく見ると何かを取ろうと必死になっている様子。しばらくして掴んだ何かをカップに入れ振り返ったところで、「何してたの?」と声をかけてみました。すると、「可愛い石を拾ってたの」と答え見せてくれました。「可愛いの拾えたね」と言うと「でもね、アリさんがいてなかなか取れなかったの」と言って友達に頑張って見つけた石を見せにかけて行ってしまいました。別の日の室内では、年長児のBさんが水道でコップに水を入れては流すといった姿がありました。遊んでいるのかと思い、「お水がもったいないよ」と声をかけると、Bさんは「水の音が変わるの」と答えました。コップに水が溜まるにつれて音が変わることを不思議に感じて繰り返し水を入れていたということでした。注意力や観察力が著しく伸びてくる時期と言われています。見たり(視覚)聞いたり(聴覚)におったり(嗅覚)触ったり(触覚)味わったり(味覚)と感覚機能をフルに使ってさまざまな刺激を取り入れようとします。暖かさや冷たさ、人の存在感なども子どもの心に働きかけていきます。色々なものへの強い興味を持つ時期なので、大人にとっては見慣れたものでもこの頃の子どもにとっては新鮮な体験を重ねていることになります。そして、様々な感覚刺激の経験は、子どもの内面形成と深く関係しています。とくに自然が作り出す音や色、形、動き、におい、味、明暗、温冷、炎の揺らめきなど美しいものや感動するものへの出合いは、子どもの内面形成の起点となります。と同時に、外に表すようになるまでの基盤を作ることになるでしょう。
子どもたちの興味は、いつどこから現れるかわかりません。大人の感覚、大人の当たり前で判断するのではなく、子どもたちのそばにいる大人として一緒に発見を驚き喜ぶことで子どもの新たな発見へつながる関わりを行なっていきたいと思います。幼児組 蛭﨑