木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「普通の感覚とは」幼児組編

2023.11.20

五感についての話をしたいと思います。木月保育園ではバスで遠足などにいく機会があります。そして毎年バス酔いといった乗り物酔いになりやすい子が一定数います。バス酔いの原因は、三半規管など平衡感覚の崩れといった自律神経系によるものや嗅覚のストレスや不快感といった精神的因子によるものがあると言われています。一度バス酔いを経験した人に対して「頑張れば大丈夫」「短い時間だから大丈夫だよ」といった声かけは相手を苦しめることはほとんどの人に想像がつくことでしょう。次はおやつの時間の出来事です。Aくんは「牛乳は気持ち悪くなるから飲みたくない」という横でBくんは「僕は牛乳大好き」と言っていました。BくんはAくんに対して「美味しいから飲んでみなよ」と笑顔で言うとAくんは「無理」と即答しました。このやり取りを見ていて、大人が「少しだけだけど味わってみる?」とか「美味しいよ」と言う言葉掛けは本当に合っているのかと考えさせられる瞬間でした。一般的に大人は、好き嫌いなく食べてもらいたい、色々な食べ物が食べられるようになって欲しいという思いが強くあるため、苦手なものでも食べていけるような声かけをしていくことが正しいという意識があると思います。しかし、Aくんは味覚として牛乳を不快に捉えていることに対して、大人の正しい声かけはどんな言葉なのかを改めて考えていかなくてはと感じました。同じ感覚についての話であっても、前者は仕方ないと思われることが多ですが後者については大人の働きかけ次第という意識を持っている方が多いように感じます。しかし、どちらも一人ひとり異なる感覚の話であり、本人にとっては仕方がないことでありどうすることもできないことなのではないでしょうか。しかし多数派の方が普通で良いと言われることが多いのが現実です。もちろん、好き嫌いなく食べていくことは大切であると思いますが、その子の感覚はその子にしかわからないものであり、大人が普通を決めてはいけないものであり、一人ひとりの感覚の違いを受け止め、向き合っていく必要があると思います。大人の私たちが、自分にも周りの人とは違う感覚があることを忘れないようにしていきたいですね。幼児組 蛭﨑

 

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