早いもので今年も残り2ヶ月となりました。保育園での生活にもすっかり慣れ、日々楽しく過ごしているひよこ組の子どもたち。この日は保育士たちが手作りしたダンボールでできた手押し車や紐で引っ張る車を保育室に出して遊んでいました。初めて出したのですがすぐに飛びついて上手に押したり、手押し車に乗って「押してー!」という顔で保育士にお願いしてくる子どもたち。Aちゃんもすぐに手押し車の持ち手部分を握り一歩踏み出したのですが手押し車が動きません。あれっ?という表情をしたAちゃんは持ち手から手を離し車の前方部分に周り覗き込んでみたり首を傾げたり、、。もう一度持ち手を握り一歩踏み出しますが摩擦や力の入れ方が前ではなく下に向かってかかってしまい動かないようでした。しかし次の瞬間、膝を少し曲げ前傾姿勢になりながら押すことで車がすぅーと前に進み出したのです。車が動いたことに一瞬驚いた表情のAちゃんでしたが、上手に力を前方向にかけて前傾姿勢で押し始めました。手押し車はある程度歩行が安定してから使うもので、「体幹を鍛える」「バランス感覚を身に付ける」といった効果が期待できます。今回の手押し車では車輪がなくどんどん前に進んでしまうことはない分、上記の内容だけでなく力の入れ方や膝の使い方までいつの間にか習得する姿が見られました。
Bくんは最初から手押し車を上手に押していましたが、室内ということもありすぐに壁にぶつかってしまいます。近くに保育士がいたため「助けて!」といった表情で保育士の方を見ますが、すぐに助けたりはせず少しの間見守っていると、B君は車体を少し浮かして右に体重をかけて車体の向きを変えて方向転換をしたのです。ダンボールで出来ているため車体が軽く、持ち上げることができたということもありますが、自分で考え力の入れ方や体の向きを変える動きを習得していました。このように子どもたちは手押し車一つでも考え、体を動かしたくさんの動きを習得していました。
手押し車は、子どもたちの「自分で歩きたい」という欲を満たし、主体的に楽しむ手助けをしてくれます。手押し車で遊ぶ年頃の子どもたちは、できなかったことができるようになったり、新しいことを発見したりすることが嬉しくてたまらない時期です。歩けるようになったことで景色が変わり、気になるものが増えさらに動きが活発になっていくひよこ組の子どもたち。玩具1つの遊び方や使い方を注視して見守ることで子どもたちの発達やその時の想いに気づくことがあります。これからもそんな大切な一瞬一瞬を見逃さず、見守っていけたらと思います。ひよこ組 松本